高齢者施設の種類・特徴・入居条件

「施設」とひと括りにされがちですが、根拠となる法律が違えば、入居できる人も、職員に求められる体制も、できることの範囲も変わります。

なぜ、施設の種類を知る必要があるのか

自分の勤め先の施設種別を、根拠法まで含めて説明できる職員は、実はそれほど多くありません。 しかしこの区別は、単なる知識ではなく、日々の業務判断に直結します。

たとえば、夜間に看護職員がいるかどうか。医師が常勤かどうか。看取りまで対応できるのか、 状態が変われば退所を検討しなければならないのか。要介護度が下がったとき、認知症の症状が進んだときに、 その人は住み続けられるのか。これらはすべて、施設の類型によってあらかじめ決まっています。

このページで整理すること

  • 高齢者施設を 介護保険法・老人福祉法・高齢者住まい法 の3つの法体系から整理する
  • それぞれの 入居条件(年齢・要介護度・その他の要件) を根拠とともに確認する
  • 種別ごとの 医療体制・看取りの可否・退所要件 の違いを押さえる
  • 現場の職員として、種別の違いが 日々の観察や申し送りにどう効いてくるか を理解する

OVERVIEW

1. 法体系から見た全体像

高齢者の住まいと施設は、大きく3つの法律に根拠を持ちます。 名称が似ていて混乱しやすいのは、同じ建物が複数の法律にまたがって位置づけられることがあるためです。 まずこの構造を掴んでおくと、以降の整理が一気に楽になります。

介護保険法

介護サービスとしての位置づけ

要介護認定を受けた人が、介護保険の給付を使ってサービスを受けるための枠組みです。 ここでは施設そのものではなく「どのサービスの指定・許可を受けているか」で分類されます。

施設サービス

介護老人福祉施設/介護老人保健施設/介護医療院

居宅サービス(居住系)

特定施設入居者生活介護

地域密着型サービス

認知症対応型共同生活介護/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ほか

老人福祉法

福祉施設・住まいとしての位置づけ

介護保険制度ができる前から存在する、高齢者福祉の基本法です。 建物・事業としての「施設」を定義しているのはこちらで、 経済的・環境的な理由による入所(措置)の根拠にもなっています。

養護老人ホーム

市町村の措置による入所

軽費老人ホーム

A型/B型/ケアハウス(C型)

有料老人ホーム

介護付/住宅型/健康型

高齢者住まい法

住宅としての位置づけ

正式名称は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」。国土交通省と厚生労働省の共管です。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、施設ではなく賃貸住宅として登録される点が最大の特徴で、 入居者は原則として住宅の借主という立場になります。

混乱しやすいポイント:ひとつの建物に2つの名前がある

たとえば「特別養護老人ホーム」は老人福祉法上の名称で、同じ施設が介護保険法上は「介護老人福祉施設」と呼ばれます。 現場では前者、書類やレセプトでは後者が使われるため、両方が同じものを指していると知らないと混乱します。

同様に、「介護付有料老人ホーム」は老人福祉法上は有料老人ホームでありながら、 介護保険法上は特定施設入居者生活介護の指定を受けた事業所です。 施設の名前ではなく、何の指定を受けているかで見るのが正しい読み方です。

CATEGORY 01

2. 介護保険施設(3類型)

介護保険法に基づく施設サービスを提供するのが、いわゆる介護保険施設です。 現在は3類型あります。いずれも要介護認定を受けた人が対象で、要支援の人は利用できません

制度の変更点:介護療養型医療施設は廃止されました

かつては4類型目として介護療養型医療施設(療養病床)がありましたが、 医療保険と介護保険の役割分担を整理する方針のもと、経過措置期間の終了により 2024年(令和6年)3月31日をもって廃止されました。 多くが介護医療院へ転換しています。古い研修資料やテキストでは4類型と書かれていることがあるため、注意してください。

介護保険法

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)

老人福祉法上は「特別養護老人ホーム」。定員30人以上のものを指し、29人以下は地域密着型として別区分になります。

常時介護を必要とし、居宅で生活を続けることが困難になった高齢者が、 生活の場として長期的に暮らすための施設です。3類型のなかで最も「住まい」としての性格が強く、 看取りまで対応する施設も多くあります。

入居条件

  • 原則として要介護3以上。2015年(平成27年)4月の制度改正で、中重度者を支える施設として機能が重点化されました。
  • 要介護1・2の場合も、やむを得ない事由があれば特例入所が認められます(下記)。
  • 入所は申込順ではなく、必要性の高い人から優先されます。市町村が定める指針に基づき、施設に設置された入所検討委員会が判定します。

要介護1・2の「特例入所」が認められる4つの考慮事項

厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発第1212001号)

1

認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること

2

知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること

3

家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること

4

単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること

医療体制と、現場で意識すべきこと

医師の配置は必要な数(非常勤の配置医師で足りる)とされており、常勤医師がいない施設が大半です。 看護職員の配置は義務づけられていますが、夜間の配置までは義務づけられていません

つまり夜間帯は、介護職員だけで利用者の状態変化に最初に気付き、 オンコールの看護職員や協力医療機関につなぐかどうかを判断する場面が生じます。 特養で働く職員に日常的な観察力が強く求められるのは、この体制上の理由によります。

介護保険法

介護老人保健施設(老健)

在宅復帰・在宅療養支援のための地域拠点として位置づけられる施設です。

病院での治療を終えたものの、すぐには自宅に戻れない高齢者が、 リハビリテーションを受けながら在宅復帰を目指す施設です。 「生活の場」である特養に対し、老健は通過型の施設という性格を持ちます。

入居条件

  • 要介護1以上。要支援の人は利用できません。
  • 病状が安定期にあり、入院治療の必要がないこと。
  • 在宅復帰を目指す施設であるため、おおむね3か月ごとに入所を継続する必要性が判定されます。終身利用を前提とした施設ではありません。

医療・リハビリ体制

常勤の医師が配置され、看護職員の配置基準も特養より手厚く設定されています。 加えて理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)のいずれかの配置が義務づけられており、 3類型のなかでリハビリテーション機能が最も明確です。 薬剤の処方や医学的管理が施設内で完結する点も、特養との実務上の大きな違いになります。

介護保険法

介護医療院

2018年(平成30年)4月に創設。介護療養型医療施設の主要な移行先となりました。

長期にわたる療養が必要な高齢者に対し、医学的な管理と生活の場を一体で提供することを目的とした施設です。 「日常的な医学管理」「看取り・ターミナルケア」といった医療機能と、 「生活施設」としての機能を併せ持つ点が制度上の特徴とされています。

入居条件と対象像

  • 要介護1以上
  • 喀痰吸引、経管栄養、インスリン注射、酸素療法など、継続的な医療的ケアを必要とする人が中心です。
  • 特養では対応が難しい医療依存度の高い状態でも、受け入れられる場合があります。

Ⅰ型とⅡ型

介護医療院は、想定する利用者像に応じてⅠ型・Ⅱ型に区分され、人員配置基準と設備基準が異なります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患を有する人や身体合併症を有する認知症高齢者などを想定し、 従来の介護療養病床に相当する、より手厚い体制が求められます。 Ⅱ型はⅠ型と比べて容体が比較的安定した人を想定した区分です。 同じ「介護医療院」でも、Ⅰ型かⅡ型かで受け入れ可能な医療的ケアの幅が変わる点は、 転院・入所調整の場面で確認すべきポイントになります。

CATEGORY 02

3. 特定施設入居者生活介護

介護保険法上は居宅サービスに分類されますが、実態としては施設に住みながら介護を受ける形態です。 「施設サービス」ではないため、ケアプランの扱いや給付の仕組みが介護保険3施設とは異なります。

「特定施設」になれるのは3種類の施設

特定施設入居者生活介護の指定を受けられるのは、次の施設です。 つまり特定施設とは建物の種類ではなく、指定という「資格」だと理解してください。

有料老人ホーム

指定を受けたものが「介護付有料老人ホーム」を名乗れます。

軽費老人ホーム

ケアハウスが指定を受けると「介護型ケアハウス」と呼ばれます。

養護老人ホーム

指定を受けて介護サービスを提供する施設があります。

なお、サービス付き高齢者向け住宅も、有料老人ホームに該当する場合には特定施設の指定を受けることがあります。

一般型(包括型)

特定施設の従業者が、入居者に対する介護サービスを直接提供する形態です。 介護報酬は要介護度に応じた包括報酬(定額)となるため、 サービスを多く使っても自己負担額が変わらないという特徴があります。

外部サービス利用型

特定施設の従業者は計画の作成・安否確認・生活相談を担当し、 実際の介護サービスは施設が委託した居宅サービス事業者が計画に基づいて提供します。 利用したサービスの量に応じた報酬体系になります。

実務メモ:入居条件は施設ごとに幅がある

特定施設は、要支援1・2から受け入れる施設(この場合は介護予防特定施設入居者生活介護となります)もあれば、 要介護者のみを対象とする「介護専用型」もあり、施設ごとに入居条件が異なります。 介護保険3施設のように制度で一律に決まっているわけではないため、 個別の重要事項説明書・運営規程を確認する必要があります。

CATEGORY 03

4. 地域密着型サービス

住み慣れた地域での生活を継続できるようにするため、2006年(平成18年)の改正で創設された類型です。 指定・監督を行うのは都道府県ではなく市町村で、 原則として事業所が所在する市町村の被保険者しか利用できません。 この居住地要件は、他市町村からの入所相談を受けたときに必ず確認すべき点です。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

少人数・家庭的な環境で、認知症の人が共同生活を送る住まいです。

  • 認知症であって、要支援2または要介護1以上の認定を受けていること。要支援2の人が利用する場合は「介護予防認知症対応型共同生活介護」となります。
  • ただし、認知症の原因となる疾患が急性の状態にある場合は対象外です。
  • 1ユニット5〜9人という少人数単位で生活します。
  • 地域密着型のため、原則として事業所所在市町村の被保険者が対象です。

入居者が調理・洗濯・買い物などの家事に職員とともに関わることを重視する点が、他の施設と大きく異なります。 また医療職の配置義務が手厚くないため、医療依存度が高くなると住み続けることが難しくなる場合があります。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームです。 入所要件は通常の特養と同じく原則要介護3以上ですが、 指定権者が市町村であり、居住地要件がかかる点が異なります。 「小規模特養」「地域密着型特養」と呼ばれます。

地域密着型特定施設入居者生活介護

定員29人以下の介護専用型特定施設です。 小規模な介護付有料老人ホームなどが該当します。 こちらも指定権者は市町村です。

小規模多機能型居宅介護

「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」「泊まり」を同一の事業所・同一の職員が組み合わせて提供します。 住まいそのものではありませんが、在宅生活を支える中核的なサービスとして、 施設と在宅の橋渡しになる存在です。

看護小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合わせた類型で、「看多機(かんたき)」と略されます。 医療ニーズの高い人の在宅生活や、退院直後の不安定な時期を支える役割を担います。

CATEGORY 04

5. 老人福祉法上の施設・住まい

ここからは、介護の必要性ではなく生活環境や経済状況を主な入所理由とする施設を扱います。 介護保険施設とは入所の考え方がまったく異なるため、混同しないよう注意してください。

老人福祉法

養護老人ホーム

介護施設ではなく、自立支援・社会復帰を目的とした福祉施設です。

入所要件

  • 65歳以上であること。
  • 環境上の理由および経済的理由により、居宅において養護を受けることが困難であること。
  • 要介護認定は入所の要件ではありません。自立・要支援の人も対象になります。

最大の特徴:入所は「契約」ではなく「措置」

他の多くの施設が本人と施設の契約で入所するのに対し、養護老人ホームは 市町村が行政処分として入所を決定する(措置)という点が決定的に異なります。 利用者が施設を選んで申し込むのではなく、市町村が必要性を判断して入所措置を採る仕組みです。 虐待や住居喪失などの緊急対応の受け皿としても機能しています。

老人福祉法

軽費老人ホーム(ケアハウス)

無料または低額な料金で、身体機能の低下等により自立した生活に不安がある高齢者が入所する施設です。

入所要件

  • 原則60歳以上(夫婦で入所する場合は、いずれか一方が60歳以上であればよいとされます)。
  • 身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことに不安があり、かつ家族による援助を受けることが困難であること。
  • 入所は契約によります(養護老人ホームの措置とは異なります)。
  • 利用料は本人の収入に応じて決定される仕組みがあります。
区分食事特徴
A型提供あり従来型。新規整備は行われておらず、ケアハウスへの移行が進んでいます。
B型自炊自炊が原則の類型。こちらも新規整備は行われていません。
ケアハウス(C型)提供あり現在の中心的な類型。特定施設の指定を受けた「介護型ケアハウス」もあります。
都市型軽費老人ホーム提供あり地価の高い都市部向けに、居室面積等の基準を緩和して設けられた類型です。
老人福祉法 第29条

有料老人ホーム

設置には都道府県知事等への届出が必要です(認可ではありません)。

高齢者を入居させ、「食事の提供」「介護の提供」「家事の供与」「健康管理」のいずれかを行う施設は、 名称にかかわらず有料老人ホームに該当します。 この定義は幅広く、サービス付き高齢者向け住宅の多くも該当します。 運営基準は、厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」を踏まえて各都道府県が定める指導指針によって運用されています。

介護付有料老人ホーム

特定施設入居者生活介護の指定を受けたホーム。施設の職員が介護サービスを提供します。 重要なのは、指定を受けていない施設は「介護付」と表示できないという点です。 広告や重要事項説明書でこの表示があれば、特定施設の指定を受けていると判断できます。

住宅型有料老人ホーム

特定施設の指定を受けていないホーム。介護が必要になった場合、入居者は 訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスを個別に契約して利用します。 同一法人が併設事業所を運営していることも多く、 「実質的には介護付と変わらない」ように見えても、給付の仕組みとケアプランの立て方が異なります。

健康型有料老人ホーム

食事等のサービスは付くものの、介護が必要になった場合には退去することが前提の類型です。 施設数は多くありません。

CATEGORY 05

6. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

高齢者住まい法

2011年(平成23年)10月の高齢者住まい法改正で創設された登録制度です。 国土交通省・厚生労働省の共管で、これまで見てきた「施設」とは異なり、 あくまでバリアフリーの賃貸住宅という位置づけになります。 入居者は施設の入所者ではなく、住宅の借主です。

住宅の基準

床面積は原則25㎡以上。便所・洗面設備等の設置、バリアフリー構造が求められます。

サービスの基準

少なくとも状況把握(安否確認)サービス生活相談サービスを提供すること。

契約の基準

高齢者の居住の安定が図られた契約であること。前払家賃等の返還ルールと保全措置が講じられていること。

入居条件

  • 60歳以上の高齢者、または要介護・要支援認定を受けている40歳以上の人
  • 同居できるのは配偶者等、一定の範囲の家族に限られます。

現場で押さえるべき「2種類のサ高住」

サ高住は、介護サービスの提供形態によって実質的に2つに分かれます。この違いを理解していないと、 入居者の介護がどこから提供されているのかを取り違えます。

  • 一般型:安否確認と生活相談のみを住宅が提供し、介護が必要な場合は入居者が外部の居宅サービスを個別契約して利用します。多数派はこちらです。
  • 特定施設型(介護型):特定施設入居者生活介護の指定を受けており、住宅の職員が介護サービスを提供します。

COMPARISON

7. 一覧比較表

ここまでの内容を1枚にまとめます。医療体制・看取りの可否は、 制度上の必置基準と一般的な運用傾向を示したものであり、実際の対応可否は施設ごとに異なります。 個別の判断は必ず各施設の重要事項説明書・運営規程で確認してください。

種別 根拠法 年齢・要介護度 入居の決まり方 医師の配置 性格
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
介護保険法 原則要介護3以上
要介護1・2は特例入所
契約/入所検討委員会による優先度判定 非常勤可 生活の場(長期)
介護老人保健施設 介護保険法 要介護1以上 契約 常勤 在宅復帰(通過型)
介護医療院 介護保険法 要介護1以上 契約 常勤 長期療養+生活の場
特定施設
(介護付有料老人ホーム等)
介護保険法
+老人福祉法
施設により異なる
要支援から可の施設もある
契約 配置義務なし 生活の場
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
介護保険法
地域密着型
認知症かつ要支援2/要介護1以上
原則、所在市町村の被保険者
契約 配置義務なし 共同生活の場
養護老人ホーム 老人福祉法 65歳以上
要介護認定は不要
市町村による措置 非常勤可 養護・自立支援
軽費老人ホーム
(ケアハウス)
老人福祉法 原則60歳以上
要介護認定は不要
契約 配置義務なし 低廉な住まい
住宅型有料老人ホーム 老人福祉法 施設により異なる 契約 配置義務なし 住まい+外部サービス
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者住まい法 60歳以上、または要介護・要支援認定を受けた40歳以上 賃貸借契約 配置義務なし 賃貸住宅

費用について

月額費用は施設種別だけでなく、地域・居室形態(従来型個室/多床室/ユニット型個室)・ 要介護度・所得区分によって大きく変わるため、このページでは金額を示していません。 ただし費用の構成は共通で、おおむね次の要素からなります。

  • 介護サービス費の自己負担分(要介護度と負担割合に応じる)
  • 居住費(家賃・室料)食費
  • 日常生活費(理美容、おむつ代、レクリエーション費用など。施設により扱いが異なります)
  • 有料老人ホーム等では入居一時金が設定される場合があります

なお介護保険施設等では、所得の低い人の居住費・食費の負担を軽減する 特定入所者介護サービス費(補足給付)があり、 利用には市町村への申請と負担限度額認定証の交付が必要です。 入所相談の場面で家族から費用を尋ねられたときは、この制度の存在を案内できるようにしておくと役立ちます。

PRACTICE

8. 種別の違いが、現場でどう効いてくるか

ここまでは制度の話でした。最後に、この違いが日々の業務でどう表れるのかを整理します。 新人職員にとって重要なのは、制度名を暗記することではなく、 自分の施設の体制上、何が自分に求められているのかを理解することです。

① 夜間に医療職がいるかどうかで、観察の重みが変わる

常勤医師のいる老健・介護医療院と、配置医師が非常勤で夜間の看護配置義務もない特養とでは、 夜勤帯における介護職員の役割がまったく異なります。 後者では、介護職員の気付きが医療につながる唯一の入り口になる時間帯が存在します。 発熱、呼吸の変化、食事量の低下、意識レベルの変化といった所見を、 主観ではなく事実として記録し、オンコールにつなぐかどうかを判断する力が求められます。

関連:介護現場で重要な観察項目

② 「住み続けられるか」の分かれ目が種別ごとに違う

老健は在宅復帰を目的とするため、おおむね3か月ごとに入所継続の必要性が判定されます。 健康型有料老人ホームは介護が必要になれば退去が前提です。 グループホームは医療依存度が高まると継続が難しくなることがあります。 一方で特養や介護医療院は、看取りまで対応する施設が多くあります。 利用者・家族が「ここにずっといられるのか」と尋ねてきたとき、 その答えは施設種別によってあらかじめ枠が決まっている、ということです。

③ ケアプランを誰が作るかが違う

介護保険3施設と特定施設では、施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)が施設サービス計画を作成します。 一方、住宅型有料老人ホームや一般型サ高住では、入居者は制度上「在宅」の扱いであるため、 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが居宅サービス計画を作成します。 記録の共有先や担当者会議の招集者が変わるため、実務上の連絡経路に直結する違いです。

関連:介護アセスメントとは

④ 入所の経緯が、その人の背景を教えてくれる

養護老人ホームの入所が市町村の措置によるということは、 そこに至るまでに経済的困窮、住居の喪失、虐待といった事情があった可能性を示します。 同様に、特養に要介護1・2で特例入所している人には、 認知症の症状、家族による支援の不在、虐待の疑いといった背景があります。 制度上の入所要件は、その人の生活史を読み解く手がかりでもあります。 アセスメントの際に、この視点を持てるかどうかで、立てられる支援の質が変わります。

まず確認したい:自分の施設は「何法の、何」か

重要事項説明書と運営規程の冒頭には、必ず施設の法的な位置づけと指定を受けているサービスの種類が書かれています。 配属されたら一度、そこを読んでみてください。 自分の施設が何の指定を受けていて、人員配置基準上どのような職種が何人いるはずなのかを知ることは、 「なぜうちではこれができないのか」という疑問への、最も確実な答えになります。

REFERENCES

9. このページで参考にしている考え方

施設は「建物の種類」ではなく「法的な位置づけ」で理解する

同じ建物が、老人福祉法上は有料老人ホーム、介護保険法上は特定施設という二重の位置づけを持つことがあります。 名称ではなく、どの法律に基づき、どの指定・許可を受けているかで捉えることで、 人員配置基準や提供できるサービスの範囲が正確に読み取れます。

参照情報源:介護保険法/老人福祉法/高齢者の居住の安定確保に関する法律

特別養護老人ホームは、中重度の要介護者を支える施設に機能が重点化されている

2015年4月の制度改正により、特養の入所は原則として要介護3以上に限定されました。 一方で、居宅での生活が困難なやむを得ない事由がある要介護1・2の人については、 厚生労働省の指針が示す考慮事項に基づき、特例入所の道が確保されています。

参照情報源:厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」(平成26年12月12日 老高発第1212001号)

サービス付き高齢者向け住宅は、施設ではなく「住宅」である

サ高住は高齢者住まい法に基づく登録制度であり、 住宅としての基準(床面積・バリアフリー)、サービスの基準(状況把握・生活相談)、 契約の基準(居住の安定、前払家賃の保全措置)を満たすことが求められます。 入居者は住宅の借主であり、介護サービスは原則として別に契約して利用します。

参照情報源:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅」/サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム

参照している情報源

本ページは2026年8月時点で公開されている情報に基づいて作成しています。 制度・基準は改正されることがあり、また運用の細部は保険者(市町村)や都道府県の指導指針によって異なる場合があります。 実務にあたっては、必ず最新の告示・通知および所属施設の運営規程をご確認ください。 本ページの内容は学習・実務の参考として提供するものであり、個別の入所可否や医学的判断を保証するものではありません。

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